中国骨董品の「鑑定」と「査定」は異なる行為
中国骨董品の世界で良く使われる鑑定と査定という言葉がありますが、この2つを正確に説明できる方はどれだけいるのでしょうか。どちらも同じような意味だととらえていませんか。
実は、この鑑定と査定には大きな違いがあるのです。まず、簡単に結論を言うと、鑑定は骨董品の真贋を明らかにする行為のことを指し、場合によっては鑑定証の発行も行います。
また、骨董品が本物であった場合には、市場価値に基づいた値段をつけることもありますが、これはあくまでも参考的なものであり、その値段で売れることを保証するものではありません。
次に査定の意味ですが、査定は業者が骨董品を買い取る際に値段をつける行為のことを指します。買取り金額は市場価格を参考にしてつけられますが、業者ごとの都合や需要と供給のバランスによって大きく変動します。
そのため、業者ごとに買取り金額が変わり、相場を下回ることも良くあります。骨董品の真贋も判断しますが、それは業者が納得して買い取るためのものであり、骨董品にお墨付きを与えるものではありません。
中国骨董品の「査定」と「鑑定」について詳しく
中国骨董品における鑑定と査定の違いを簡単に説明しましたが、ここでは、もう少し詳しく掘り下げていきます。
信頼度のある鑑定とは
中国骨董品は、貴重なものになると高値で取引されています。
そのため、巧妙な偽物も数多く出回り、素人が判断することはほぼ不可能です。骨董品の真贋を明らかにするためには、第三者に鑑定を依頼して判断してもらう必要があります。
ここで注意したいのが、鑑定の信頼度です。近くにある骨董品屋に作品を持ち込み真贋を判定してもらったとしてもどれほどの信頼度があるのでしょうか。
そこの店主が、よっぽど見識深くない限り判定は頼りないものになってしまいます。信頼度の高い鑑定をしてもらいたい場合は、権威のある鑑定人や鑑定機関に依頼をし、鑑定証を発行してもらう必要があります。
鑑定にかかる費用
鑑定人や鑑定機関は、法律で定められたものではありませんが、美術市場では信頼がおかれており、作品の価値を保証してくれます。
鑑定には、平均すると6万円前後の手数料がかかりますが、出された鑑定結果は信頼できるものとなるでしょう。発行された鑑定証は再発行が難しいものなので、大切に保管する必要があります。
また、鑑定人や鑑定機関は、作品の真贋だけを判断するものなので、作品に値段をつけることはありません。
査定について
査定は骨董品を売却する意思のある人が、買取業者に依頼して受ける行為です。
そして、そこで提示された買取り額が満足いくものであれば、取引が成立し、依頼者は現金を手にすることが出来ます。骨董品の査定は、基本的に業者の査定員が行うものなので知識に開きがあります。
そのため、業者によっては相場よりも安い値段が付けられる可能性があることを覚えておきましょう。少しでも高く買い取ってもらいたい場合は、美術品を専門に取り扱っている買取業者を選ぶと良いです。
査定にかかる費用
査定にかかる費用は、鑑定とは違い基本的に無料です。買取り額に納得がいかない場合は、キャンセルも出来るので気軽に利用することが出来るでしょう。
また、鑑定を受ける場合は作品を鑑定人の元に持ち込む必要があり、それに対するコストもかかりますが、査定の場合は査定員が自宅まで無料で出張してくれるので、持ち込みにかかる手間やかかるコストはほとんどありません。
査定は鑑定の代わりになるのか
買取業者が行うのは査定ですが、業者は持ち込まれた骨董品が本物かどうかを確かめる鑑定も同時に行います。
ということは、わざわざ費用をかけて鑑定人に依頼する必要はないと思う方もいるでしょう。
しかし、買取業者が行う鑑定は、自分たちが買い取るためのものであり、真贋を確実に保証するものではないということを忘れてはいけません。
もちろん買取業者もプロなので、いい加減な鑑定はしませんが、鑑定証を発行してくれるわけではないので、真贋の目安として考えるようにすると良いでしょう。
また、複数の業者に査定をしてもらい、そのすべてから同じ判断をされたのなら、鑑定の信頼度は増すといえます。
正式な鑑定には費用が掛かるので、その前に査定に出してみて、ある程度の真贋を見極めておくのも手といえるでしょう。
まとめ
ここまで、中国骨董品の鑑定と査定について説明してきました。
2つを同じような意味としてとらえていた方も、それぞれに別の意味があると理解できたでしょうか。骨董品の真贋や市場での評価が知りたければ鑑定を頼むと良いでしょう。
鑑定人が本物かどうか判断してくれるので、作品の正しい価値を知ることが出来ます。骨董品の売却を考えている方は査定を受けると買い取ってもらえる金額が分かります。
鑑定と査定ではかかる費用に違いがあるので、よく理解しておくことが大事です。無料の査定でも、ある程度の鑑定結果を知ることが出来るので、上手に利用すれば鑑定にかかる費用を抑えることが出来るかもしれません。
その際には、複数の業者を利用すれば鑑定結果に信頼度が出てくるでしょう。